行進曲「美中の美」
 「美中の美」は、ジョン・フィリップ・スーザ(1854〜1932)が、1908年に自身のバンド(スーザ・バンド)を率いてボストンの食品博覧会に招待された時に作曲された行進曲である。
 この曲は、スーザの行進曲の中でももっとも美しく素晴らしいメロディをもっているものと言われている。実は、スーザ・バンドは、この博覧会には数年前から毎年招待を受けており、スーザは展示会場で働く、1人の若くて美しい魅力的な女性に心をとどめていて、いずれは彼女の印象を音楽に書こうと心に決めていた。そこで、1908年に招待された時に、その美しい女性を思い出しながらこの曲を書き、「美中の美(The he Faierst of the Fair)」というタイトルを付けたというエピソードがある。ちなみに、タイトルの“fair”には、“美人”という意味のほかに“博覧会”という意味もあり、「美人の中でももっとも美しい」と「博覧会の中でもっとも素晴らしい博覧会」という2つの意味をもったネーミングになっている。
 さて、まったく個人的な思い入れとしては、まだ小学生だった私は、この曲と「士官候補生」の演奏をNHKの「名曲アルバム」で聴き、風にたなびく星条旗や、スーザフォンを担いで演奏するマーチングバンドの映像にも魅せられ、それまでまったく無縁無関心だった(当時の音楽の成績は1か2ばかり……)音楽の世界へ興味を持ち、やがては中学校で吹奏楽部に入部するきっかけとなった曲なのです。