行進曲「士官候補生」
 この曲の原題は“The High School Cadets”という。このCadets(候補生)という言葉があるため、士官学校のために作曲したマーチだという誤解があるが、真実はワシントンで唯一のハイスクール(後にセントラル・ハイスクールとなる)のマーチング・ドリル・チームからの依頼で作曲されたマーチである。このドリルチームというのは、今でいうクラブ活動のようなもので、軍隊の教練とは直接の関係はなかったそうである。従って、タイトルも“High School(高校hこに“Cadets”を付けて「高校生」というのが正しいのだが……。
 この高校のドリルチームは、ライバルである「ナショナル・フェンシブルズ」よりも、もっと素晴らしいマーチが欲しいとスーザに依頼したのだが、この易しく明快なマーチに生徒達は大感激し、お礼に24ドルをスーザに支払ったという。
 なお、この曲の原調は(Db調→Gb調)であるため、中学生にとってはいささか演奏しにくく感じるようであり、八田泰一がアレンジした版(Eb調→Ab調)やスコットがアレンジした版(Bb調→Eb調)がしばしば使われているようである。