〜育 苗 その2〜
3.鉢ずらし
 鉢上げの5日後くらいから、鉢ずらしという作業を行ないます。
 これは、成長した苗の葉が込み合ってくるせいで、上に伸びようとするのを防ぐために行なうのが大きな目的です。ひょろひょろと上に伸びてしまうと、定植する時に根元から折れてしまったり(病原菌が入る恐れもある)、成長してから実なりが悪くなってしまいます。そのため、できるだけ隣の苗との距離を開けて、太くドッシリとした姿にしてあげます。
 この鉢ずらをしながら、1本々々の苗の状態を観察したり、ポットの中の雑草を処理したり、土の塊を砕いたりします。また、均等に成長させるため、この時点で成長の早い(大きい)苗は両端に、成長の遅い(小さい)苗は中央に配置します。
鉢上げ5日後の苗たち。
このくらいになったら鉢ずらしをしてあげよう。
左が鉢ずらし後、右がずらす前です

4.温度管理と潅水
 鉢上げが終わったら、温度管理が大事になってきます。この時期の管理を間違うと、1年の収穫に大きく影響が出てしまうのです!
 具体的には、ハウス内の外気温を日中は25〜30℃に保ち、夜間でも20℃くらいになるように加温します。また、温度を上げすぎるのも良くないので、32度以上にはしないようにハウスのビニルを開けるなどして換気をします。そして、日にちを追うにつれ、徐々に温度を下げていくようにします。
 この温度は、桃太郎でも"桃太郎ファイト"や"桃太郎J"という耐病性の高い品種の場合で、"ハウス桃太郎"の場合には全体的に2度くらい低くても大丈夫そうです。
↑ 暖房機……温風を送る機械。 
  ビニルのパイプがハウスの中まで通っています。
↑ ヒートパイプ 
ゴム管の中を熱いお湯が通って地面を温めます。
 潅水は、鉢上げ5日後くらいから毎日行ないます。潅水は、必ず朝やること。また1鉢ずつ丁寧に行ないます。量の目安は、土の状態によっても違いますが、朝水をやって、夕方には乾いているくらいで十分です。あまりやりすぎると、人間で言えば甘やかして育てることになってしまい、根の張り具合が悪くなったり、糖度が低くなったりするので、厳しく育ててあげましょう。また地温を保つためにも、水温は人肌くらいの温度に温めてから潅水するようにします。
 この時期に行なうことを、1日の流れの中でまとめると次のようになります。
  1. 朝起きたら、すぐに暖房機を20℃に設定する。
  2. 外気温が15℃くらいになったら、トンネル(苗のすぐ上にかぶせておくビニル)を開ける。
  3. ヒートパイプを"手動"にする。
     ⇒ヒートパイプの中の水の温度を均一にする。(温度差があると成長速度がバラつくため。)
  4. 2重カーテンの内側を開ける。
  5. 潅水する。(温度は人肌程度。)
  6. 日中は温度管理!
     晴天…………25〜30℃になるように調節する。
     曇天・雨天…20〜25℃になるように調節する。
     (最高でも32℃を超えないように注意!)
  7. 夕方、太陽が陰ってきたら2重カーテンを閉め、トンネルをかける。
  8. 暖房機を0℃に設定する。
    (夜間は20℃程度になるように、また0℃以下にならないようにする。)
トンネルをかぶせるとこんな感じになります。 →